妊娠と甲状腺異常について|八尾市の内科・美容皮膚科、歯科|みらい内科歯科クリニック

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妊娠と甲状腺異常について

内分泌代謝・糖尿病専門医の院長の濱澤です。今回は妊娠と甲状腺の関係についてお話させていただきます。
妊娠すると母体は赤ちゃんを産むためにホルモンバランスが変化します。その中で甲状腺ホルモンも赤ちゃんが成長するために、ホルモンの必要量が増すことがあります。特に妊娠初期は、胎児の甲状腺機能がまだ未熟なため、母体からの甲状腺ホルモンが重要となります。赤ちゃんはお母さんから送られる甲状腺ホルモンによって、脳や神経などの重要な体の部分を作っており、甲状腺ホルモンは成長に必要な大切な栄養素のようなものです。



甲状腺機能低下症(橋本病)と妊娠中のリスク
流産・早産・妊娠高血圧症候群、血糖コントロールが不安定になるリスクが上昇し、また、つわりが重くなったり、うつ症状・疲労感・むくみが悪化したりするケースもあります。妊娠初期までは、胎児は母体から供給される甲状腺ホルモンだけに依存しており、この時期にホルモンが不足していると、胎児の脳や神経の形成が不十分となり、知的障害や運動発達遅延を引き起こすことがあります。


甲状腺機能低下症では、甲状腺ホルモンの補充薬(チラーヂンなど)を服用し、TSH(甲状腺刺激ホルモン)値を適切な範囲にコントロールします。通常、妊活中の女性のTSHは2.5µIU/mL未満が推奨されています。この値を超えていると甲状腺機能の低下による妊娠率が下がる可能性があることが知られています。妊娠中でない際と比較すると、厳格なホルモンのコントロールが必要となります。


甲状腺機能亢進症と妊娠中のリスク
甲状腺ホルモンの過剰な状態が続くと、妊娠高血圧症候群・早産・常位胎盤早期剥離・心不全など重大な合併症を引き起こすことがあります。バセドウ病患者様の母体から、TSH受容体抗体が胎盤を通して赤ちゃんに移行すると、胎児甲状腺機能亢進症(頻脈・発育遅延・甲状腺腫)が起きることがあり、出生後に赤ちゃんに甲状腺異常をきたすことがあり、慎重な経過観察が必要となります。妊娠前にバセドウ病の病態は安定させておくことが重要です。

バセドウ病の場合、プロパジールなどの抗甲状腺薬を服用してホルモン値をコントロールしますが、コントロールがつきづらいケースでは妊娠前に計画的に手術などを検討することもあります。

産後の甲状腺炎について
出産後数か月以内に発症することがある一過性の甲状腺炎で、甲状腺機能亢進状態になった後、甲状腺機能低下状態になることが多いです。産後の甲状腺炎は、このようなホルモン変化や免疫の変化によって起こりやすいと考えられています。多くの場合、もともと甲状腺疾患に罹患されていない方のケースでは症状は軽度で自然に回復しますが、一部では治療が必要になることもあります。

甲状腺疾患に罹患されている方が妊娠される際や妊娠時のスクリーニング検査で甲状腺ホルモンの異常を指摘されると、ご不安なことも多いかと思いますが、適切にコントロールすれば前述のリスクは大きく減らすことができます。
甲状腺のことでお悩みやご不安な方はお気軽に甲状腺専門医のいる当院までご相談ください。