糖尿病専門医の院長の濱澤です。今回はインスリン注射についてご説明させていただきます。
インスリンを一度始めたら、もうやめることはできないのか という質問をしばしば受けます。結論としては、その患者さんの膵臓からのインスリンの分泌の具合(インスリン分泌能)や、その際の血糖推移、糖尿病に対して服薬している薬の量など様々な要因により判断されます。しかしながら、1型糖尿病の方のケースでは基本的にはインスリン分泌が枯渇しいるため、インスリンによる治療が必須となります。要はインスリン離脱はすべての患者さんで行うことができるわけではなく、身体の中のインスリンを出す細胞(膵臓のβ細胞)がきちんと機能を保持しているかが焦点になります。
![]()
インスリンの分泌能はどのようにして判断するの?
膵臓から分泌されるインスリンの量は血液検査で血中Cペプチドというインスリンの代謝産物を測定することである程度把握することができます。Cペプチド(CPR)は、インスリンが作られる過程で同時に生成される物質で、膵臓のインスリン分泌能力を評価するための重要な指標です。簡単にご説明すると、値が低い場合はインスリン分泌が低下しており、インスリン治療が必要な状態の可能性がある(インスリン依存状態)と判断され、値が高い場合はインスリンは比較的分泌されており、食事運動療法や糖尿病内服薬の調整でインスリン導入までは必要ないケースも多々あります。
![]()
しかしながら、血糖値が例えば300mg/dLを超えるなど血糖コントロールが不良の場合は、早めにインスリン注射を導入して、膵臓のβ細胞をしっかり休めて回復させることがとても大事になります。インスリン注射の開始を躊躇して、内服薬だけのままで血糖コントロールがどんどん悪くなる場合、どんどんβ細胞は疲弊してしまい(医学的には糖毒性と言います)、その後のインスリン分泌の回復の可能性が低くなってしまいます。インスリン注射をするというと、そんなに病気が悪いのかと思われる方も多いと思いますが、必ずしもそうではなく、β細胞をしっかり休めてインスリンを出す機能を回復させる時間を作るために、インスリン注射を導入するということです。そして血糖コントロールが改善してきて、インスリン分泌能も回復すれば、インスリンを中止することも十分考慮できます。
当院では糖尿病専門医と糖尿病看護認定看護師による糖尿病やその予備軍の患者さんに専門的な診療や療養指導を行っておりますので、血糖値にご不安な方はお気軽にご相談ください。